SSブログ

並河靖之七宝展 [美術館]

並河靖之七宝展

 並河靖之の没後90年に際して、
 並河靖之七宝展_明治七宝の誘惑、透明な黒の感性_が開催されました。


そもそも七宝とは?

 金・銀・銅・鉄・青銅などの”胎”に”釉薬”と呼ばれるガラス質の色の粉あるいは粒を焼成したもの。
特にリボン状の銀線を胎に施して、胎に区切りをつける七宝を有線七宝といいます。
有線七宝は無線七宝よりも、絵柄がはっきりと浮かび上がるのが特徴です。
有線七宝は銀線によってアウトラインがはっきりとしていますが、
一方で無線七宝は銀線を施さないため、輪郭がぼけて優しい印象になります。

有線七宝では並河靖之(Namikawa Yasuyuki)、
無線七宝では濤川惣助(Namikawa Sousuke)が有名。


有線七宝の制作手順
①銅板などで土台を作ります。この土台を"胎"といいます。

②胎に下地をつくります。
 裏には裏引き用の釉薬を裏側に盛り、乾燥したら表面用の釉薬を薄く盛り、
 電気炉で焼いて胎に焼き付けます。

③紙に書いた下絵を、カーボン紙を使って胎の表面に写し取ります。

④リボン状の銀線を、カーボン紙で描いた下絵に合わせて置いていきます。
 これを殖線といいます。

⑤銀線で区切った空間に適当な色の釉薬をさしていきます。

⑥800度程の電気炉で焼成します。

⑦荒いやすりから細かなやすりの順に表面を磨いてととのえます。

⑧蜜蝋を表面に塗ったら完成です。




 1 桜蝶図平皿(明治中期) 
20140513_305683.jpg


2 花文飾り壺
20140429064724a7a.jpg


 3 四季花鳥図花瓶(明治中期) 
2e523051e01ce25737ed0515983bb703.jpg


 4 菊御紋章藤文大花瓶 
1129nana8.jpg


5 菊唐草文細首小花瓶
170114_namikawa_photo09_l.jpg


 6 鳳凰草花図飾壺(中央)と草花図飾壺(左右)(明治中期) 
namikawa.jpg



日付 2017年2月4日(土)
場所 東京都庭園美術館(白金台)
時間 12時~13時30分頃

〈会場の雰囲気〉
 ・チケット売り場は特に並ぶことなくチケット購入ができた。
  ドレスコード割引き、今回は蝶のモチーフのものが対象だった。

 ・靖之の作品の中でも人気の高い中期の作品が本館に並び、
  新館は年代順に壺や香炉、名刺入れなどが展示されていた。

 ・また、靖之の弟子にあたる人の大皿が本館二階正面に展示してあったり、
  当時使っていた粉状の釉薬や、胎に殖線をして釉薬を焼き付けるまでの課程が
  実物と共に展示してあった。

 ・ビデオ上映は靖之の作品の簡単な解説と
  有線七宝の作り方を解説するものだった。

 ・会場全体は静かな雰囲気で、静かに作品を鑑賞していた。


〈見学者の様子〉
 ・主な鑑賞者は40代~60代と思われる男女。
  
 ・1人で来ている人や夫婦、60代の5~6人の女性グループなどがいた。
  特に男性は1人で鑑賞しに来ている人が多かった。

 ・男性は無料貸し出ししている単眼鏡で展示品の細部までじっくり見ていた。

 ・男:女=1:1

 ・他には学生らしき人もちらほらと見受けられた。

 ・あまり混雑していない。
  展示品のガラスケースに3~4人が囲んで見ているような感じ。


〈土産物コーナーの状況〉
 ・ポストカードや図録はよく手に取られている。

 ・購入に至る人は少ないようだった。
  (男性は購入に慎重?)

 ・企画展の土産物らしい土産物はあまりない。

 ・バレンタインデー企画ということで美術館限定のチョコレートが売られていた。
  チョコレートの柄は、美術館入り口正面にあるルネ・ラリックの
  ガラス装飾のモチーフになっている。 


〈この展示会で感じたこと〉
 ・ポスターにも使われている藤の柄をはじめ、靖之が好んだ蝶柄などの古典的な柄はもちろん、
 竜や鳳凰のモチーフや、トルコブルーに小菊と唐草の模様が入った大陸を感じさせる柄など、
 いろいろ楽しむことができました。
 晩年になると風景柄の香炉が多く展示されており、
 まるで立体的な風景画を見ているようでした。

 ・京都の並河靖之七宝記念館からの貸し出しがほとんどでしたが、
 中には海外の美術館からの貸し出しもあり、
 普段国内では見ることが叶わない作品を見られました。
 そういったところも企画展の良さであると思いました。

 ・「メディチ家の至宝展」の際には女性が圧倒的に多かったことに対し、
  今回は男性が多く見受けられました。
  有線七宝は確かに作り方を知っていなければ素晴らしさが伝わりにくい部分があるので、
  そういった意味で男性への受けが良かったのかもしれないと思いました。

 ・「メディチ家の至宝展」ではカメオのブローチの裏側が七宝のものが多く、
  それに注目する女性の方がたくさんいたので、
  今回の展示も女性に人気がでるのかなと思っていましたが、
  それについては微妙に違っているようでした。

 ・単眼鏡の無料貸し出しはとても良い試みだと思いました。
  一つ一つの作品をじっくり観察することができて、靖之の作品の繊細さがよく分かります。


〈背景〉
 ・会期    2017年1月14日(土)– 4月9日(日)

 ・会場    東京都庭園美術館(本館・新館)
         ※休館日 第2・第4水曜日(1/25、2/8、2/22、3/8、3/22)

 ・開館時間 10:00–18:00 (入館は閉館の30分前まで)
         3/24、3/25、3/26、4/1、4/2、4/7、4/8、4/9は夜間開館20:00まで
         (入館は19:30まで)

 ・主催    公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、
         毎日新聞社

 ・後援    ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
         ブリティッシュ・カウンシル

 ・協力    日本航空

 ・協賛    岡村印刷工業

 ・年間協賛 戸田建設



〈編集後記〉

 私自身、有線七宝で小さなブローチを作ったことがあるのですが、
これが本当に難しいです!
銀線を絵柄通りに立てられなかったり、焼成で焼きすぎてしまって銀線が溶けたり・・・
単純な絵柄なら良いのですが、多少大きいものや複雑な絵柄となると、
ある程度の経験値が必要です。

 並河靖之の美しい黒の色は単色ではなく、
様々な色の釉薬をブレンドすることで実現します。
また通常、釉薬は粒状のものを使いますが、靖之は粉状の釉薬を使っていました。
そうすることで、よりキメの細かく艶やかな色をだすことができています。

 そしてなにより素晴らしいのは、作品を作り上げる技術です。
靖之の工房ではすべて分業制で、それぞれの得意分野をもつ職人を抱えていました。
七宝は作品が大きくなればなるほど、焼成の際に失敗するリスクが高まる繊細なものです。
靖之は試行錯誤を重ね、作品の形、部分別の銀線の量、すべて計算し尽くして作品を作り上げています。
電気炉がない時代のことですから、釜の温度も当然一定ではなく、焼成は容易ではありません。
靖之の七宝はそうした研究の末にたどり着いたのだと思うと、感動的です。

 ぜひ一度、実物を見ていただきたいです!!



エルメスの手しごと展~アトリエがやってきた~ [美術館]

エルメスの手しごと展~アトリエがやってきた~


8d9b671b80458f3d61972a92bdccc552.png


1 会場前階段
☜今回の展示に合わせ、階段の柄を展示用にラッピングしてある。
  階段の踊り場で記念撮影の列ができている。

エルメス写真1小.jpg


2 磁器絵付職人ブースにて
エルメス写真2小.jpg


3 手袋職人ブースにて
エルメス写真3小.jpg



日付 2017年3月12日(日)
場所 表参道ヒルズ(原宿)
時間 17時40分頃~19時頃


〈会場の雰囲気〉
 ・会場入り口に行列ができていた。
  どんどん入場させるので5分程並んだら入ることができた。

 ・会場はあまり広くなく、会場の中にブースが設けられている。
  ブースには職人とその通訳がついていて、
  どんな流れで商品ができているのか、実演しながら説明してくれる。

 ・鞍職人、時計職人、シルクスクリーン製版職人、シルクスクリーンプリント職人、
  磁器絵付職人、縁かがり職人、ネクタイ縫製職人、手袋職人、皮革縫製職人(バッグ)
  のブースがあった。

 ・入り口入って右手には会場にはない職人の映像も流れていた。
  クリスタルの研磨、石留め、革のハンドルカバーなど。

 ・人でごったがえしていて、じっくり見ることはできなかった。


〈見学者の様子〉
 ・20代~40代の男女が多い。
  50代以上は見られなかった。

 ・ざっと見た印象
  20代 男:女=1:1
  30代 男:女=2:1
  40代 男:女=1:2
 
 ・20代は学生が多かった。
  30代はカップルや夫婦、一人で見ている男性が多かった。
  40代はお友達同士できている女性がいた。

 ・男性の方が質問をする人が多い。
  また体験のコーナーがあると積極的に参加している。

 ・女性はエルメスのスカーフを身に着けている人が多く見られた。


〈土産物コーナーの様子〉
 ・お土産のコーナーは設けられていなかった。

 ・記念撮影できるスペースがあった。

 ・今回の展示のオリジナルシールが無料で配られていた。

 ・受付のところで、銀座エルメスで行われる特別なワークショップへの応募ができる。
  (「エルメスの手しごと」展スペシャルウィンドウを手掛けた
イザベル・ドゥ・ボルシュグラーヴによるワークショップ)

 ・LINEのエルメスのトーク画面で「ホームワーク」と打ち込むと
  今回の展示に関する11個の問題に挑戦できる。
  回答が終わると特別な壁紙がもらえる。


〈この展示会で感じたこと〉
 ・エルメスの本物の職人によるデモンストレーションはとても新鮮だった。
  特にエルメスのスカーフは欲しくなった。

 ・無料で公開しているのがよい。
 
 ・今回の展示のポスターやロゴの雰囲気が、
  21_21DESIGN SIGHTの展示の雰囲気に似ていると思った。

 ・人でごった返していて、じっくり見られなかった事が残念だった。

 ・もう少し大きな会場を確保した方が良かったと思う。


〈背景〉
 ・会期  2017年3月9日(木)~19日(日)
     ※ 3月13日(月) 休み

 ・会場  表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー

 ・時間  11:00~19:00 (最終入場18:30)

 ・主催  エルメスジャポン株式会社

 ・料金  無料



詳細は公式HPへ!! http://www.maisonhermes.jp/feature/421339/



〈編集後記〉

今回興味深かったのは、シルクスクリーン製版職人のブースでした。

デザイナーが描いたスカーフの図案を忠実に再現するために、実演の絵柄では
43枚ものシートを使ってプリントに必要なベースを描いていきます。
製作時間はだいたい6ヶ月、長いものでは1年近くもかかるそう。

ここ2、3年の間にデジタル化されペンタブが導入されましたが
かかる手間や時間はあまり変わらないんだとか。
拡大縮小機能をつかって細かいところまで絵をチェックできるのが、
一番良いところだそうです。

ここでできたベースはシルクスクリーンプリント職人の手によってプリントされ
次に縁かがり職人の手によってスカーフが完成します。

こんなに手間がかかったスカーフを身に着けることができたら
なんて贅沢なんだろうと思いました。

もののできる過程を知ることで、よりその素晴らしさが分かる
素敵な展示でした!


ダリ展 [美術館]

ダリ展

 日本では過去最大規模となる
 ダリ展が開催された。

 詳細は公式ホームページへ http://salvador-dali.jp/


 1 オーケストラの皮を持った3人の若いシュルレアリストの女たち   
    (サルバドール・ダリ 1936年)   
 o-kesutorano kawawo.png



 2 見えない人物たちのいるシュルレアリスム的構成
    (サルバドール・ダリ 1936年) 
 mienai jinnbutu.jpg 



 3 奇妙なものたち (サルバドール・ダリ 1935年頃)
 kimyouna monotachi.jpg



 4 ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌 (サルバドール・ダリ 1945年)
 uraniumu to.jpg



 5 素早く動いている静物(サルバドール・ダリ 1956年頃)
 subayaku ugoiteiru seibutu.jpg






 日付 2016年11月12日(土)
 場所 国立新美術館 (六本木)
 時間 10時~11時30分頃

〈会場の雰囲気〉
 ・会場入って正面に「DARI展」の文字が黒の壁に映し出されている。
  年代ごと8つのチャプターに分かれている。

 ・展示のほとんど(書籍除く)がダリの作品。

 ・通路は広く取られているが、
  作品が小さいもの(特に音声ガイド付きの絵画)の前はいっそう混雑している。

 ・また、映像前の通路は人の流れが悪い
 (1回の上映が長い、映像スペースが狭い)。
 
 ・前半はとても混雑しているが、後半になるにつれだんだん人の流れがスムーズになる。

 ・朝早くから多くの人の来場があった。


〈見学者の様子〉
 ・男:女=3:7。

 ・多くは20代~60代の男女。
  カップル、夫婦、女性グループ(40代~60代に多い)
  
 ・女性は友達同士、夫婦で来ている人が多い
  子供連れはいない。

 ・解説をじっくり読む人が多い。

 ・音声ガイドは男女ともに利用している。



〈土産物コーナーの状況〉 
 ・ポストカードは、入荷待ちの商品が発生するなど、非常に人気が高い。
  一人あたりの購入枚数は3~5枚。

 ・図録がよく手に取られていたし、売れていた。

 ・Tシャツ、トートバッグのバリエーション展開が豊富。
  デザインも良い。

 ・ジグソーパズルなども展開。大小3種類ずつほど。

 ・お菓子の展開は多くはない。
  (クッキー、チョコレートなど)


〈この展示会で感じたこと〉
 ・開館直後から多くの人で賑わっており
  ダリの人気と、この展示への期待度の高さがうかがえた。

 ・シュールレアリスムという表現はとても面白い。
  普段の生活では触れることのない表現なので、刺激になる。

 ・パッと見たときのビジュアルや色彩が面白いので
  深く考えなくても楽しむ事ができる。
  一方で、「この作品はどういう事を考えて描かれたものなのだろうか」
  と、背景を知りたくなるような魅力がある。

 ・時代の流れを素直に受け止め、表現に活かす柔軟さがダリにはあったように思う。

 ・ポストカードの色彩が大きくいじられていて
  印象が大きく違っている物があった。
  やはり生で実物を見た方が良いと感じた。


〈背景〉
 ・ 会期   2016年9月14日(水)~12月12日(月)
         休館日 毎週火曜日

 ・時間   午前10時~午後6時 毎週金曜日 、
        11/19(土)、11/26(土)、12/3(土)、12/10(土) は午後8時まで
        ※ただし、10月21日(金)、10月22日(土)は午後10時まで
        (入場は閉館の30分前まで)

 ・会場   国立新美術館 企画展示室1E

 ・主催   国立新美術館
        ガラ=サルバドール・ダリ財団
        サルバドール・ダリ美術館
        国立ソフィア王妃芸術センター
        読売新聞社
        日本テレビ放送網
        BS日テレ

 ・共催   ぴあ、WOWOW

 ・後援   スペイン大使館、TOKYO FM

 ・協力   日本貨物航空 日本航空

 ・特別協賛 キヤノン

 ・協賛   花王、損保ジャパン日本興亜、大日本印刷
        大和ハウス工業、トヨタ自動車
         みずほ銀行、三井物産



〈編集後記〉

※本「楽園のカンヴァス 原田マハ著」についてのネタバレを含みます。

楽園のカンヴァス読了しました。
「もっと読んでいたかった、続きが気になる・・・」
アンリ・ルソーが描いたとされる絵画の真贋を見極めるために呼び寄せられた二人の専門家は、
自分の置かれた状況と絵画との間で揺れ動いていく。

真贋を見極めるキーとなる物語の中には、
ルソーと絵のモデルとなったヤドヴィガ、ピカソなどが登場し、
読み進める度に私自身もその世界へのめり込んでいくようであった。
真贋を見極める際にはティム・ブラウンの視点で描かれているが、
ぜひ女性主人公の織絵視点でも読んでみたい。

この本の中で一番心に残った織絵の言葉
「この絵には熱意がある、それだけです」
アンリ・ルソーについて数々の論文を出している織絵が、
真贋の講評の際言った台詞ですが、
講評の放棄とも取れるこのシンプルな言葉を
どんな気持ちで言ったのでしょうか。

私は美術展で絵を見る際、
あまり難しいことは考えず
パッと見た時の印象で鑑賞することが多いです。
せいぜい少しの世界史の知識と、作品の解説を読んで作品に思いを巡らせるくらい。
しかしこのブログで美術レポートを上げるようになってから、
美術展全体を客観的に比較できるようになるにつれ、
知識をもう少し増やして、
絵画に対する理解を深めたいと思うようになってきました。

織絵ほどの知識はないにしても、
近い景色を見られたら素敵ですね。


ゴッホとゴーギャン展 [美術館]

ゴッホとゴーギャン展
 

美術館の良いところは、寒い冬でも暖かい場所で芸術に触れられるところだと思います。

 今回はゴッホとゴーギャン展に行って来ました。
 奇跡の出会いを果たした二人。
 互いへもたらした影響とは・・・

 
 1 収穫(フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年6月)  
gohho shuukaku.jpg



 2 タマネギの皿のある静物画(フィンセント・ファン・ゴッホ 1899年1月初め) 29474773_59206.jpg



 3 ジョゼフ・ルーランの肖像(フィンセント・ファン・ゴッホ 1889年2~3月) 201112_Postman-G.jpg



 4 ブルターニュの少年の水浴(ポール・ゴーギャン 1886年7-8月初め) gauguin_jeunesbrretonsaubain-web.jpg



 5 アリスカンの並木路(ポール・ゴーギャン 1888年10月末) gauguin.png




 6 肘掛け椅子のひまわり(ポール・ゴーギャン 1901年)
d.jpg




日付 2016年11月13日(日)
場所 東京都美術館 (上野)
時間 13時~14時30分頃


〈会場の雰囲気〉

 ・オレンジがかった照明で、暗め。

 ・5つの章に分かれている。
  それぞれが近代画家として活躍する1章
  仲間から刺激を受け、ゴッホが急速にタッチを変える2章
  ゴッホとゴーギャンの共同生活が実り、お互いへの影響が窺うことができる3章
  共同生活後の4章
  ゴーギャンが晩年タヒチに移り住み、絵を描く5章

  ・展示の最後は、ゴーギャンの”ひまわり”の絵。
  ひまわりは、ゴッホがゴーギャンをアルルの「黄色い家」に迎えた際に
  飾られていたものと同じモチーフである。

 ・映像の展示もあったが、映像のスペースが広く取られていて
  1回3分程度の上映だったので人の流れはスムーズだった。

 ・展示の前半は混雑しているが、3章以降は人が均一に流れていたと思う。
  フロア移動があると人が流れやすいのかもしれない。
  音声ガイドがついた絵画の前は、どうしてもつまり気味になる。


〈見学者の様子〉

 ・多くは20代~60代の男女。
  大学生、50代の女性グループ、子供連れの夫婦と祖父母が目立つ。

 ・男:女=3:7。

 ・一人で来ている人は、いなかった。

 ・50代~60代の女性は特に、途中の椅子で休憩する姿が多く見られる。

 ・がやがやとしゃべり声も目立つ。
  リラックスした様子で鑑賞している。


〈土産物コーナーの状況〉

 ・ポストカードは、一人あたりの購入枚数は1~3枚。

 ・図録はよく手に取られていた。

 ・滞在時間は5分程度。

 ・買うのは女性、子供。

 ・クッキーなどのお菓子はあまり売れていなかった


〈この展示会で感じたこと〉

 ・それぞれの章において、
  いろいろな画家から影響を受けたゴッホの画風は大きく変わっている。
  特に印象派からの影響が大きい。
  ゴッホの表現の探求が窺える。

 ・一方で、ゴーギャンの想像で描くような画風を見て、
  より現実的なモチーフを好んだ面があったことが
  作品を見ていてわかり、面白かった。

 ・ゴーギャンは共同生活中の作品においてゴッホの影響はあまり見られないが、
  4章~5章にかけてのゴッホの影響は大きい。
  象徴主義の側面が濃く出ている。

 ・展示の最後の作品の”ひまわり”には、
  ゴッホを偲ぶ気持ちがあったのだろうか。

 ・作品をみて純粋に楽しむこともできるし、
  人物の背景に焦点をあてて楽しむこともできる。
  また、若い世代から年配の世代まで幅広く集めることができた展示だと感じた。



〈背景〉

 ・会場   東京都美術館 企画展示室

 ・会期   2016年10月8日(土)~12月18日(日)
        開室時間9:30~17:30
        (金曜日、10月22日(土)、11月2日(水)、11月3日(木)、
        11月5日(土)は20:00まで)
       
        ※入室は閉室の30分前まで休室日月曜日、10月11日(火)
        ※ただし10月10日(月・祝)は開室

 ・主催   東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、
        東京新聞、TBS

 ・後援   オランダ王国大使館、TBSラジオ、BS-TBS

 ・協賛   三井住友銀行、日本写真印刷、三井物産、
        損保ジャパン日本興亜

  ・協力   エールフランス航空/KLMオランダ航空、
        日本航空、オランダ政府観光局


  詳細は公式HPへ ↓
  http://www.g-g2016.com/

ポンピドゥー・センター傑作展 [美術館]

 20世紀の巨匠の作品が東京都美術館に集った。


1 ミューズ(パブロ・ピカソ 1935年)
20160612-02.jpg

2 大きな赤い室内(アンリ・マティス 1948年) 
img_86c8c66c909fea741a023a018a2d5a35392655.jpg

3 室内(ベルナール・ビュフェ 1950年) 
p1950.png

4 リクライニングチェア(ジャン・プルーヴェ 1924年) 
2016061510280425b.jpg

5 ピンクの交響曲(アンリ・ヴァランシ 1946年)
4e728e7217454dd3c8b1ec9d3116e0b1.jpg

6 楽園の樹(セラフィーヌ・ルイ 1929年頃)
CraaaiYVUAEIPtj.jpg

7 会場内

BLF 
1465573604_NRR1SYQ.jpg
1F
topics704e5d3d5c7f79cba7b0e37db9a898ac5.jpg
2F
topics86c0b5e12d210592a3d79b7ec75ce1f03.jpg





 詳細は公式HPへ。
  http://www.pompi.jp/point/index.html


日付 2016年8月28日(日)
場所 東京都美術館 (上野)
時間 11時30~12時40分頃

〈会場の雰囲気〉
 ・1906年~1977年にかけて作られた絵画・写真・映像などを
  一年一作家一作品ずつ展示している。 
  「作品・作品や人物についての解説、人物の写真と名言」
  が繰り返されるという展示方法。

 ・フロアが3つに分かれている。
  LBF 1906年~1934年 赤い壁紙
  1F  1936年~1959年 青・水色の壁紙
  階段状の壁
  2F  1960年~1977年 白い壁紙
  丸い空間

 ・計71点の展示。

 ・オレンジの照明。
  LBFは暗かった。(作品の劣化を防ぐため?)

 ・作品が大きく、通路も広めにとってあるので、
  混雑は感じられなかった。
  ただ、解説が小さくて読みづらかった。


〈見学者の様子〉
 ・多くは20代後半~50代の男女。
  70代女性、子供連れの女性グループ・家族が数組。

 ・男:女=4:6。

 ・来ている男性のうち、半分くらいは一人で来ていた。
  (20代後半~40代男性)

 ・50代・60代女性は服装に気を遣っている人が多かった。
  (帽子を被っている、ストールを巻いている、小物にポイントを置く)

 ・人は一定のペースで流れる。
   ただし、映像作品の前は多少滞る。


〈土産物コーナーの状況〉
 ・ポストカードは、展示品のほぼすべてが揃っている。
 一人あたりの購入枚数は1~3枚。

 ・図録や、四角のマグネットがよく手に取られていた。

 ・Tシャツ、トートバッグが販売されている。
  また、デッサン用鉛筆一式・パステル一式が売られている。
  (ケースに絵が印刷されている。展開はそれぞれ1パターン)

 ・アクセサリー・ストールなどの小物の展開はなし。

 ・買うのは女性、子供。


〈この展示会で感じたこと〉
 ・展示が淡々と繰り返されるので、
  作家一人一人の作品、主張や思考を比較しやすかった。
  比較する中で作品の共通点・相違点を見つけるのも面白いと思った。

 ・また、20世紀という混沌とした時代背景がよく感じられた。

 ・作品のが尻すぼみにならず、常に一定のボリュームだった。
  一人の作家だと盛り上がったり下がったりと波があるが、
  このような展示も良いと思った。

 ・この時代の絵は暗い色調のイメージがあったので、
  「ピンクの交響曲」などの鮮やかな色使いは新鮮に感じた。

 ・2Fの作品は、素材に変化が出てきて面白い。
  油彩、キャンバス、モノクロ写真だったものが、
  塗料や合板、シルバープリントなどを取り入れるなど。


〈背景〉
 ・会期  2016年6月11日(土) ─ 2016年9月22日(木・祝)

 ・会場  東京都美術館
        休室日月曜日、7月19日[火]
       ※ただし7月18日[月・祝]、9月19日[月・祝]は開室
 
 ・主催  東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、
       ポンピドゥー・センター、朝日新聞社、TBS

 ・後援  在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、TBSラジオ

 ・協賛  JR東日本、大日本印刷、大和ハウス工業、東レ、三井物産

 ・協力  集英社、日本航空、日本貨物航空

ルノワール展 [美術館]

「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」「浴女たち(ニンフ)」が国立新美術館に初来日。
また、「田舎のダンス」「都会のダンス」ともに45年ぶりの来日を果たしました。

1 ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会(1876年)
1.jpg
   ☜賑やかな広場で踊り、食べ、おしゃべりに興じている光景は見ているだけで楽しくなる。
    男性がかぶるカンカン帽は愛嬌がある。

2 ぶらんこ(1876年)
2.jpg  
   ☜午後の昼下がり、ブランコに乗ることに照れているのか、
     髪に指を通しうつむき加減の少女。
     少女の正面に立つ男性は想い人かも・・・

3 読書をする女(1874-76年)
読書をする女.jpg
   ☜柔らかな日差しの中で、口元を緩ませ読書にふける少女。
     心温まるストーリーだろうか。   

 4 田舎のダンス  都会のダンス (どちらも1883年)
田舎都会.jpg
   ☜田舎と都会における女性らしさ、女性のあり方を表しているように思う。
    楽しそうなのは左、あこがれるのは右。

 5 ピアノを弾く少女たち(1892年)
renoir-two_girls_at_the_piano.jpg
楽譜を熱心に見つめ、ピアノに向かう少女と、付きそう姉の存在のような少女。
あたたかな家庭を連想する風景。

   ☜あたたかな家庭のワンシーンを描いたこの絵からは優しい音色が聞こえてくる。
     姉妹の仲の良さがうかがえる。

 6 浴女たち(1918-19年)       
 7 女性大水浴図(1884-87年)
renoir_baigneuses00.jpg
   ☜ともにルーベンスを連想させる。古典主義の影響を受ける。



ルノワールの絵の良さは初期から中期の時代に集中していると思います。生活のワンシーンを切り取り表現するルノワールは、当時の時代を表す女性らしい表情や仕草をよくあらわしていて、木漏れ日に照らされる人物は、うっとりと見入ってしまうような雰囲気をまとっています。見る人をあたたかな気持ちにさせ、見る人を引きつけていたルノワールの絵ですが、晩年の裸婦画はルーベンスの真似をするばかりで面白みがなく、それこそ”古典主義におぼれた”という表現が、私のなかではしっくりきています。



日付 2016年5月22日(日)
場所 国立新美術館 企画展示室1E (六本木)
時間 11時~12時半頃

〈会場の雰囲気〉
 ・「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が飾られている所は広い空間になっていて、
  四面に絵が飾られており、そこでは思い思いに作品を見ていた。
 ・上記の場所には、ルノワールの息子の作品の映画が流れていた。
  おかげで堅苦しい雰囲気ではなかった。
 ・展示103点のうち、8割はルノワールの作品だった。
 ・ルノワールが使用していたパレットや筆、絵の具が展示されていた。
 ・1時間半ほどで回ることができる展示数だった。

〈見学者の様子〉
 ・混んでいない時間帯を狙ったつもりだったが、すんなり絵の正面に立てない程度
  には人が多い。
 ・大学生と若いカップル、年配の方と奥様と夫婦、割合は3:7くらい。
  女性が6割ほど。小さい子供はいない。
 ・絵も解説もじっくり読む人が多かった。
 ・初期、中期の作品の近辺が混み、晩年にいくにつれて人は減っていた。
 ・会場の外にでると、国立新美術館内のカフェにいく人が多かった。

〈土産物コーナーの状況〉
 ・定番のポストカードがよく売れていた。
 ・画集は手に取り、めくる人は多いが、購入には至っていない。
 ・アシュペーフランスとのコラボレーションアクセサリー、ストールが販売されていた。
一昨年のオルセー美術展でもコラボレーションしている。
 ・コハクのネックレス、透かしの入ったべっ甲のリングが売られていた。
  奥様が熱心に見ていた。
 ・土産コーナーは特に、年配の方が多く足を止めていた。

〈この展示会で感じたこと〉
 ・堅苦しい雰囲気ではなく、ルノワールを全く知らない人でも気楽に楽しむ事ができる。
 ・印象派の時代の初期から中期、古典主義の影響を受けた晩期、
  それぞれ絵のテイストが異なるので、色んな趣味をもつ人たちが、見に来ていたように思う。
 ・カップルが、他の展示会に比べて多かった。
 ・非常に暑い日だった。
 ・カジュアルな服をきている人が多い上に、展示の雰囲気も相まってか、
  コハクを見ている人が意外に多かった。
  土産物コーナーでコハクを販売するのは非常に良いと思った。

〈背景〉
 ・会期 2016年4月27日(水)~8月22日(月)
      毎週火曜日休館 ただし、5月3日(火・祝)、8月16日(火)は開館
 
 ・時間 10:00~18:00
      金曜日、8月6日(土)、13日(土)、20日(土)は20:00まで
 
 ・主催 国立新美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、日本経済新聞社
 
 ・後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・ フランセ日本
 
 ・協賛 アサヒビール、NEC、花王、KDDI、損保ジャパン日本興亜、第一生命、
      ダイキン工業、大日本印刷、大和証券グループ、大和ハウス工業、みずほ銀行、
     三井物産、三菱商事
 
 ・特別協力 テレビ東京、BSジャパン

 ・協 力 日本航空

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。